ショートショート
□ハルジオンハルシオン
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彼のとなりに、座った。
私のお風呂あがりのせっけんのにおいと、彼の飲んでいるコーヒーのにおいがまざる。
右手にコーヒー、左手に本の彼。
かまってくれない彼の肩に、こてん、頭をあずけたら、無言でコーヒーを差し出された。ごくり、ひとくち。あったかい。
どかされないということは、おとなしくしていればこの体勢でいることを許されたってこと!
彼の読んでいる本はいつも、日に焼けたあまいにおいがしてとなりにいるのが気持ちいい。
このまま、一日の終わりとして甘い台詞でも言ってくれればいいな、なんて思ったけど、彼はこっちを見ないまま「本ぬれるから髪乾かしてきて」とだけ言った。
彼はなかなかつれない。
ハルジオン
ハルシオン
なんだか眠くなってきた。
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