ショートショート

□ミスターブラック、ミスホワイト
1ページ/1ページ

三十路を目前にした俺にとって、このオーディションが舞台人になるための最後のチャンスだった。そのチャンスを逃した今、目の前が真っ暗という表現が一番ふさわしいだろう。

“目の前が真っ暗”

鈍く痛む頭でふと光の三原色の話を思い出した。

光の三原色は赤、緑、青の3色で何も光ってない状態が黒、3色の光が合わさった状態が白。

そう思うと“目の前が真っ暗”とは何と的確な表現か。
将来の希望という光を絶たれた俺は、“頭が真っ白になる”わけではなかった。

「頭が真っ白になる、か…」

確かに最終審査では頭が真っ白だったかも知れない。あれは希望が見えすぎていたからなのか、
ミスターブラック
ミスホワイト






(外に出たら太陽がまぶしすぎて、目がくらんだよ)



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ