ショートショート

□ブランケットはどこへいった!
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きっと、ブランケットを手放せないライナスと一緒だ。

「ゆめくい小人、ゆめくい小人、」

小さい頃は眠るのが怖かった。寝ている間に死んでしまうのではないかとか、怖い夢を見たらどうしようとか。
その度に、絵本で読んだ悪い夢を食べてくれる小人を呼ぶ呪文を唱えてた。

「ツノのナイフ持ってきておくれ、」

流石に今は悪い夢を見るのが怖いわけではない。だけど、小さい頃よりも恐れるものが多くなった。

失いたくないものが増えて、

小さい頃に恐れていた悪い夢やいずれ死んでしまうということに比べ、今の私が恐れるものは何て小さいことなのか。
それでも、私は、

「ガラスのフォーク持ってきておくれ、」

この次から次へと浮かび上がる不安を消すことはできないんだろう。


(どうしようもない不安で、途方もないことに脅えて、こんなものがないと眠ることさえ上手くできないよ)


ゆめくい小人、ゆめくい小人
ツノのナイフ持ってきておくれ、
ガラスのフォーク持ってきておくれ、
ぱっくり大口あけとくれ。
子供をおどかす怖い夢、
早く早く食べとくれ!
けれども綺麗でやさしい夢は、
食べずに残しておいとくれ。
ゆめくい小人、ゆめくい小人、
招きを受けてきておくれ!
(ミヒャエル=エンデ/ゆめくい小人)




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