市日小説 短編

□護るべき者
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今日は冬獅郎の誕生日で、二人だけで祝うつもりやった。


「冬獅郎〜、入るで。」


楽しそうに障子を開ける。


期待した笑顔はなく、あったのは………死への恐怖の顔。


なぜならば、冬獅郎の腹部に浅打が刺さっていたからだ。


冬獅郎が大量出血で畳に倒れ込む。


それと同時に背後からよく知っている気配を感じた。


振り向くとそこにいたのは…


「っ!!藍染はん!!」


「どうしたんだい?そんなに騒いで。」


「これは…これは、どういうことや?!」


「簡単だよ。
君は虚圏には、もう行く気が無くなっていただろう。

日番谷君という足かせのせいで。
だから、未練を断ち切ってあげたんだ。

ギン、君が悪いんだよ。」




去っていく藍染を見送ることしかできない。
何も言い返せない。
それが事実なのだから。




冬獅郎を抱き上げる。

「冬獅郎!!」


「ギ…ン、寒い……。」


「冬獅郎!!死なんといて!!
今、卯ノ花はんとこ連れていくから。我慢して…な?」


瞬歩で綜合救護詰所にいく。
大切な人がいなくなってしまう不安を抱えて。


「卯ノ花はん!!居ります?!」


綜合救護詰所のドアを壊すかの勢いで開く。
珍しい客に驚く卯ノ花。


「どうしたのです?
市丸隊長、ここではお静かに。」


「卯ノ花はん!!冬獅郎…冬獅郎が!!」


冬獅郎を診て卯ノ花が隊士に言う。


「極めて重症です。浄気結界を張ってください。一刻も争う状態です。」


「卯ノ花はん、冬獅郎をお願いします…」


「…できる限り、手を施します。」


卯ノ花の表情をとても厳しかった。


「覚悟をしていてください。」


扉が閉まる音が、冬獅郎との永遠の別れになってしまう音のように聞こえた。


待ち時間、下を見ていることしかできなかった。


”もし、もしも…やで?
 冬獅郎が居れへんようになったら?”


”藍染はんには、もっと警戒するべきやっ
た”


悔しさと焦燥感と悲しさで満たされた。
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