市日小説 長編 〜chain of scarlet spellbinding〜

□第六章 約束
3ページ/8ページ



最後の日。
この世界のかもしれない、鬼のかもしれない。
知りたければ、時に身をゆだねるべし。



生き残っている鬼は全員、彼岸花の場所に立っている。


そこに隊長格がやって来た。
開戦の合図だった。


重い顔をしたファイン。
怒りに満ちたラウ。
楽しそうなストーム。
刀を研ぐカームとラーム。
眠そうなリット。
微笑むイル。
余裕な顔のブレード。


更木が現れるとラウがいきなり斬りつけた。


乱菊の周りにカームとラームがいく。


リットがイヅルの前に現れる。


ストームがギンのまわりに現れる。


イルがゆっくりストームの方へ歩く。


ブレードは冬獅郎に刀を向ける。









「ライトの仇…。」
少し冷静になったラウが小さく呟く。
そして大きく跳躍する。


「お前はあの女と違って戦い難いな。」


「そう思うのは最初だけだ。
 あと数分でお前は肉片になるからだ。」


「ごちゃごちゃ言ってねぇーで、始めようぜ殺し合いをよぉ!」




何度か刀を交えた後、更木が言う。


「お前、弱くなったな。」


「なんだと?」


「じゃあ、俺を斬ってみろよ。」


「言われなくても…!」


そう言って刀を下ろしたときラウの手が赤く染まる。


そして脱力して膝をつく。


「ライトって女に霊力をやりすぎだ。」


ラウは瀕死のライトに治癒霊力による回復をしたが結果は残念だった。


「………。」


彼女以外ならしなかった行為が仇となった。


更木が静かに刀を振り下ろす。


ラウは最期までライトを想っていた。
彼女の治癒をしたことで消えても。


「ライト、すまない…」


死ぬ間際にもライトと言った。
その場に残るはナイフと刀。


「ちっ、つまんねぇな。
 こんな死に方しやがって。」


更木は去っていった。
戦う相手はいないと。























+*+*+*+*+*
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ