青空文庫

□ある晴れた日に
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「だあぁぁぁ〜〜〜っ」

穏やかな昼下がりに不釣り合いな怒号が、城戸邸の庭に響く。

屋敷には、瞬ひとり。
何処かの敵が襲撃してきたのだろうか?
庭に面した2階のテラスから軽やかに飛び降りると、声のした方へと駆け出した。


広い庭の奥に広がる林を気配を消して進むと、木々の合間に人影が覗く。
慎重に木から木へと隠れながら近付いてゆくと、再び響き渡る大きな声。
「あああぁ〜〜〜っ、と」
遠くから聞いた時には音が反響して判らなかったが、すぐ近くで聞けば、いつも聞き慣れた声だった。
「何をしてるの?星矢」
身を隠していた木陰から姿を現すと、星矢は気まずそうな表情で振り返った。
「聞こえてた…よな?」
「うん」
「まぁ、いっか。ストレス発散してたんだよ」
「ストレス発散?」
「大声で叫ぶのが、俺のストレス解消法」
「叫ぶのが?」
不思議そうに尋ねる瞬の様子に、逆に星矢が不思議そうな表情になった。
「お前、ストレスとかないわけ?」
「ない…かな」
「マジで?いや、瞬だったらありえるか。何て言うかさ、大声で叫んだらスッキリするんだよ」
「そうなんだ」
「もしも、モヤモヤすることがあったらやってみろよ」
「うん、そうする」
頷いてみたものの、まだ半信半疑。


ある晴れた日の出来事。





end

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