青空文庫

□はじまる、セカイ・2
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何かが唇に触れた感触で、ふわりとした夢の中から意識が浮上する。

次の瞬間、僕の視界にあったのは、金色に輝く髪と長い睫毛。
―そして、重なる唇。


触れられた唇が、熱い。
その熱が一瞬で全身を駆け巡り、支配されてゆく。


氷河っていつも冷静なのに、唇はこんなに暖かいんだ…。

まとまらない思考の中で、ぼんやりとそんな事を思っていると、唇が解放された。


伏せられていた蒼い瞳と出会うと、彼は困ったような表情で固まってしまった。
…困っているのは、僕なのに。

「…あ、いや・その…」
微かに頬を赤くする氷河。
氷河の蒼い瞳の中に映る僕は、彼以上に顔を赤くしていた。
それきり何も言葉を見つけられず氷河は黙ってしまい、ただ気まずい時間だけが静かに流れてゆく。




end

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