D,Gray-man

□Lose One's Sanity
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「ね、ラビは僕に好きって言ってくれたっけ?」





事の発端はこのアレンの一言。


考えてみれば言ったことがない。


だから今朝から機嫌が悪いのか。


なんて、冷静に分析した。



「言ったことなかったさ?」



静かに頷いた。


するといきなり視界が揺れた。


状況を理解するのに時間が掛かった。


俺はアレンによってベッドに押し倒されている。


首を小さな手で絞められて。



「好きって、言って!!」



大きな雫を滴らせながら叫ぶ悲痛な声。


悲しいね。


言葉でしか愛情を測れない人間。


もし声を失えば、どうやって測るんだろうか。


好き、なんだよ、アレン。


お前が思っているよりも深く。


底無し沼みたいに。


どうして人は言葉で愛を唄う?



「僕しか、見ないで。」



それはこっちの台詞。


俺に、溺れて。


俺に、狂って。


俺だけを愛して。



「……僕がいなかったら生きていけないくらいに、僕に狂って…!!」



きっと君となら死ねる。


それくらい君が好き。



「アレンが好きだよ。狂うくらいに。」



涙が涸れて、笑った。



「僕も。」








狂って、いる。



誰が?





End

10.1.11.

By 薺
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