REBORN!

□不毛地帯
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不毛地帯









「結婚するんだって?」



大きく目を開いて、そして優しい目になった。


それが全てを物語っていた。


ああ。


心の中で嘆くような溜息混じりの声が漏れた。



「まだ、誰にも言っていないのに…何で分かったんです?」



軽く彼を一瞥して、また書類に目を向けた。



「君の未来のお義父様に会って来た」


「ああ。また呼ばれたんですか? あそこの旦那、雲雀さんの闘い方が好きだから仕様がないですね」



ふふっと軽く笑って、長い髪が風に靡いた。


綺麗な髪だった。


触りたくなるほど綺麗だった。



「何で結婚するの?」


「何で、って……」


「政略結婚な」


「違いますよ」



言葉を遮る凛とした声。



「違います。純粋に彼女に惚れたんです」



彼女は君の好きな人ではないじゃない。


心の中でぼやいて、腹立たしいかった。


目の前に浮かんだのは、赤ん坊の姿。


また、君か−。


心のどこかで納得と軽蔑の目を今、ここにいない赤ん坊に向けた。


感情を押し殺して、泣かなくなったボス。


結婚をしても、彼ら二人の間に愛情という二文字はなく。


虚しい政略結婚をさせられる可哀相なボス。


彼に安らぎの場と、幸せになれるときは来るのだろうか。



「浚ってあげようか?この不条理な場所から」



心に思ってもいないことを発していた。


ただ、幸せになった彼の姿が見たいと思ったから言ってしまった言葉。



「例え、浚って貰ったとして、それからの未来を想像しても不毛で叶うことが出来ない願いですから。それに、ここが俺の居場所で、棺桶ですから」



泣きそうに笑う、嫌な笑い方。


その笑顔で何度も乗り越えて来た夥しい数の同胞の死。



「…君は…。その結婚をして幸せになれるの?」


「はい」



後悔していない、後悔する気もない決意に似た目。



「そう」



優しい眼差しを向けて、片膝を着いて。


彼の手を取って、口づけるように囁いた。



「ご結婚おめでとうございます。貴方に幸せがあらんことを」


「ありがとう。雲雀さん」



彼が泣いていたのは僕だけの秘密。





結婚式当日。


皆が両脇に立って、花びらが舞っている真ん中を、幸せそうな顔をして歩いている二人。


その姿を遠く離れた所から見て。


彼にお祝いの言葉も向けなかったな。


と思いながら、ホルスターに入っている拳銃をスーツの上から触った。


こんな日に、こんな物を持つなんて、どうかしている。


この思いは守護者全員が思っているはず。


心の底から、祝福しているのに現実の世界に引き戻らされる。


こいつの所為で。


なんだ。


どの世界にいようが、不毛で、幸せを願うことなんて出来ないじゃないか。





End








襲花の評判が良かったのを思い出して
+10&結婚ネタですが
Upしてみました
自分的には気に入ってる作品です
皆幸せになろうね!!



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