REBORN!

□確信犯
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雲雀さんと付き合って3ヶ月目。


3ヶ月もするのに、何もしてこない雲雀さん。


俺としては、もうそろそろ手を繋ぐとか、キスしたい。


告白した時は、抱き合って唇が触れるくらいのキスをしたけど今となってはそれすらない。


もしかして嫌われた?!


なんて、ネガティブな思考ばかり。


深い溜め息をつき、雲雀さんの後ろを付いて行くだけの下校デート。


これすらもデートと呼べるか分からない。


だって今日、交わした言葉は、



『帰るよ』

『あ、はい』



たったこれだけ。


これで付き合っていると言うなら学校の生徒、全員が付き合っている。


現に今も何話していいか分からないし。



「はぁ〜」



何度目か数えるのも億劫になってきた溜め息。



「ねぇ…」

「ぶっ!!」



下を向いて歩いてはいけない。


って小学校の先生が言ってたっけ?


うん。


見事に雲雀さんにぶつかった。


当の雲雀さんは不機嫌だし。


当たり前といったら当たり前か。


だって、ぶつかった訳だし。



「ごめ、ん、なさい…」



鼻を押さえて雲雀さんを見る。


ぶっちゃけ怖い。


良く自分この人と付き合えてんな、と感心するほど。


傍から見たら恋人同士とは絶っっっっっ対、見えない。


と言うか、見れられない。



「ねぇ、…そんなに僕のこと嫌いなの?」

「へっ??」



素っ頓狂な声が出た。


だって、3分間の沈黙を破る第一声がこれ?!



「さっきから溜め息ばかり…。そんなに僕と居るのがつまらない?」

「え?あ、いや、違ッ…!」



もしかして、これで不機嫌だった?


そう思ったら少し雲雀さんが可愛く見えた。



「何、笑ってるの?」



うん。


前言撤回。


可愛い見えた気がしただけ。


さっきより、ずっと不機嫌になった。



「あの、雲雀さん…」

「何?」



一句ごとに刺がある。



「手、繋ぎませんか?」



あ〜あ。


言っちゃった。


きっと馬鹿にされるんだろーなー。


なんて思っていると、



「ン」



見えたのは白い手。



「え?」



顔を上げると不機嫌だけと、さっきより表情が柔らかいのが見えた。


満面の笑みを向けて手を取ると引き寄せられた。



「わっ!!」



訳の分からないまま、キスして上唇を舐められた。



「っ!……」



一歩後退りして、唇を押さえて。



「い、まの……」

「やっと言ったね。いつ言うかって、ずっと待ってたんだから」



笑った雲雀さんを見て、顔が火照ったのが分かった。



「確信犯ですか?!!」

「うん」

「〜〜っ!」



雲雀さんの背後に黒い羽と尻尾が見えた気がした。



「ー、きょ…」

「きょ…何…?」



その満面の笑顔を壊したくて。



「恭弥の馬鹿!!」



一心不乱に言った一言が雲雀さんの顔を真っ赤にさせた。



「え?」

「か、帰るよ!!」

「ちょ、え? 雲雀さん、待って下さいよ! 雲雀さん!!」



今まであったキョリがゼロになった気がした。






End



By 薺
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