REBORN!

□この感情は、愛してる
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『十代目、遊びに行きませんか?』


電話越しの第一声が
それだった。


「行きたいけど、宿題が済んでないんだよね〜」


自分で言って
虚しくなった。


『そっすか…』
「あー、獄寺君は終わった?」
『えっ、あ、まぁ一応は』
「そっか〜、凄いね。俺なんか終わらない前に、問題の意味がわかんないし…」
「なにが終わってないんですか?」
「えっと…、数学と英語かな?」


机に置きっぱなしの
夏休みの宿題たち。

ほぼ白紙に近い。


『んじゃ、俺、教えましょうか?』
「え、本当? ぅわ、助かるよ」
『じゃあ、学校の図書室でしましょう』
「え? 学校?」
『市営の図書館は休館日で、学校の図書室ならクーラー使えますし。…どっすか?』
「いいね、行く!! じゃ学校で待ち合わせね!!」
『はい! では後で』
「うん、後でね!!」


通話終了ボタンを押し
テキトーなバックに
宿題を入れて
行ってきます、と
母さんに声を掛けて
猛ダッシュ。

昼過ぎなのに
前より日差しが
柔らかくなっている。

けれど、
まだまだ蝉は鳴き続け
アスファルトの熱気は
負けてない。


「十代目!!」


前方にラフな服装を
している獄寺君がいた。


「はっ、やいね。着く、の」


呼吸が荒く
まともに喋れない。


「今まで学校の図書室で本読んでたんですよ。じゃあ、行きましょう」


背中を向けて
校門を潜る。

部活をしていない俺にとっては
夏休み中に学校に来ることは
補習がない限り
有り得ない。

校舎も人気がなく
外から見ても不気味に見える。

校舎内に入れば
外より幾分涼しくて。

でも人気がないのは
そのまんまで。

外より中で実感する方が
何倍も怖かった。


「怖いっすか?」
「ぅ、えっ?」
「俺も最初は怖かったんですよ。……平日はいつもいる十代目が学校にいなくて。凄く怖くて、早く夏休みが終われっ願って。十代目が隣にいないことが怖かった」


なんの、
話をしてるんだろう。

獄寺君の言葉が
反響して大きく聞こえる。

透明感があって
力強くて優しくて
聞くと安心する声が
大好きな声が
まるで……。

図書室前で
俺の方に向き合った
獄寺君の顔は真っ赤で。


「あ、つい…?」


伸ばした手が掴まれて。

手は汗で湿っていて
冷たい。

俺より冷たいのに
顔は真っ赤で。

これじゃ、
まるで。


「好きです」


脈が一回
高鳴った。


「ぇっと…、ぁ、のね…」


目、が
まともに合わせられない。


「いきなりで困りますよね。返事が聞きたいとか、そんなんじゃなくて……。俺が楽になりたかっただけですから、忘れてください」
「………え……?」
「告って目合わして貰えないなら、告ったことなしにして、いつも通り接してくれた方が何倍もいいです」


言葉が、
出なかった。

目を合わせたら
泣きそうな顔があって。


「き、いて…?」
「なんです?」
「忘れたら、いつも通り笑ってくれる? 顔合わせてくれる? 嫌わないでくれるなら、忘れる、よ」
「そうなると、怖いですか?」
「人気のない校舎より、何倍も怖い」


そう言ったら
笑った顔が溢れていて。


「その感情の言葉がわかったら、次は十代目から紡いでください」
「どういう、意」


唇に獄寺君の唇が
当たって。


「これで元通りです」


横を通り過ぎる際に
頭に触れた右手は
暖かく
掴んでいた左手も
暖かかった。







(怖い感情は、愛してる)






End




初めて書いた気がする
告白話。
イマイチな
話の内容だけど
まぁ いっか!!!





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