合同

□桜の季節まで、さようなら
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「卒業、おめでとう」


涙を浮かべながら卒業証書を受け取って
先生の顔を見て頭を下げた。





−桜の季節まで、さようなら






「早かったな。卒業するまで」
「そうですね」


桜の木の下
先生と木に凭れ掛かって
桜の花びらが舞うのを見つめる。


「お前達と出会えて、よかったよ」


目を伏せて言った先生の
感情を読み取ることは出来なかった。


「泣きそう、ですか…?」
「バァカ。誰がだよ」
「先生が」
「それを言うなら、お前だろ。新八」
「かも、知れませんね」


今でも鮮明に思い出す。
真新しい制服と靴と鞄を担いで
この桜並木を歩いて
校舎に向かったことを、
今でも昨日のように鮮明に思い出せる。


そして抱いた恋心。
ずっと、ずっと言わなかった思いがある。
卒業するまでは…って。



「先生が、……好きです」



「……うん。知ってたよ」
「やっぱり、ですか」
「けど、…ゴメンな」
「先生?」
「んー?」
「第二ボタンだけ貰ってくれませんか?」
「どうして?」

「僕が先生の生徒だった証です」

「忘れねぇよ」
「え?」

「初めて先生に告ってきた生徒を忘れる方が無理な話だ」



目が点になる。
振られた痛手より
先生の初めてを奪ったことに
嬉しさが込み上げる。


「それに、スッゲェ嬉しかった」
「何がですか?」
「告白だよ。ありがとな」


第二ボタンを取って
それにキスした姿に
やっぱり好きだなぁ、と思い知る。


「先生、また会いに来ます。手土産を持って」
「おー、その時の手土産はエクレアね」
「わかりました」



先生、また会いに来ます。
手土産を持って。
貴方への恋心を携えて。





(桜の咲く、この季節に)
(必ず会いましょう)





End





悲恋のようでハッピーエンド、
を目指したつもりです。

今までにない作品に
なったのではないでしょうか。

楽しく書かせて頂きました!!






11/04/30



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