BRAVE
□佐助の動揺
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佐助の動揺
いつものように森を飛び回っていると、彼女が動物たちと話しているのを見つけた。
「今日早いな。」
「今日はお手伝いが早く終わったの。」
にっこり笑って答える彼女。
その笑顔、その声、その仕草…
全てが自分を惹き付けているなんて彼女は知らない。
「佐助君は、お仕事?」
「見回り中。」
「そっか、お疲れ様。」
そう言って隣に座った自分の頭をなでる。
そういうのも無意識だから…困る。
「あ!そうだ!」
「?」
何かを思い付いたように彼女がパンっと両手を合わせる。
「ね、佐助くん。目、つぶって?」
「何故?」
「いいからいいから!ね?」
そう言って首を傾げて自分を見上げる。
思わず手を伸ばしそうになるのを理性でぐっと抑えて、ぎゅっと目をつぶった。
「まだ開けないでね?」
その声が囁くように耳元で聞こえた。
目をつぶっているせいか、妙に色っぽく聞こえて胸の鼓動が尋常じゃない。
一体何事かと思っていると、不意に唇を柔らかいもので塞がれた。
『口付け…!?』
動揺して思わず目を開ける。
と、同時に柔らかいものは口内に押し込まれた。
「むぐっ!?」
「えへへー♪…おいしいでしょ?」
にっこり微笑む彼女の手には数個の餅。
もぐもぐと口を動かせば、口に広がるあんこの味。
「疲れてる時は、甘いものだよ♪」
「………諾。」
不埒な勘違いをした自分を殴りたい。
自分がこんな気持ちでいるなんて彼女は気づかないだろう。
今も隣で無邪気に餅を頬張っている。
でも、見てて。
いつか…
「我、気付かせる。」
ーーー何が?と首を傾げる彼女の仕草にまた胸が高鳴った