BRAVE

□六郎の苦悩
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六郎の苦悩


これを危機と言わず、なんと言おう。


「若!起きて下さい!」

「がーっ…」

「若っ!!」


今、私は泥酔した主、真田幸村その人に押し倒されているような形で畳みに背中を預けている。


「こんなところを誰かに見られては…。」


変な誤解を招きかねない。
早くこのダメ城主…いや、主を叩き起こさなければ…。


「六郎様、こちらにおいでですか?」

「なっ…!」


襖越しに聞こえた声。
私の同期の女中であり、私が想いを寄せる女性だ。
彼女なら助けてくれるだろう。
しかし、この体制は良くない…!


「六郎様?具合でも悪いのですか?」

「い、いや…そうではない!」

「声が震えていませんか?やはり具合が…?失礼します!」

「あっ…!」


うろたえ、知らず知らずに裏返った声を勘違いした彼女は、私の返事も待たずに、襖を開け放った。
そして、彼女は固まった。


「えーっとぉ…。」

「こ、これは…!」

「い、いえ!大丈夫です!誰にもいいません!」

「違っ…!」

「いいえ。恋愛の仕方など人様様。言い訳なんていらないですよ。」


彼女は何かを悟ったように、それはそれは優しい微笑みを私に向けた。


「だから、違うと…!」

「では、ごゆっくり。」


彼女は満面の笑みで襖を閉じる。
そして、足早に走り去って行ってしまった。
何もかも…全てはだらしないこの泥酔城主のせいだ。


「若…起きなさい!!」


寝ている城主の頭に響くよう術を放った。


そして、その後誤解を解くのはとてつもない時間を費やした。
――――――――――――――六郎は、こんな誤解を沢山受けてそう…(笑)
幸村様は、それだけは楽しまないだろうな。女好きだから( ̄∀ ̄)

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