L×S

□右手に華を、左手に愛を
1ページ/5ページ


今日はルルーシュの誕生日。
放課後、生徒会でパーティが開かれるのだが…。
今はランチタイムのお昼休み。ルルーシュやリウ"ァル達は楽しく食事をしているのだが、僕はちょっと憂鬱だった。
実は、まだルルーシュへのプレゼントが決まっていないのだ。
昼食が終わって、ホームルームが終わってしまった。どうしようと教室でため息をついていると。

「だったらこんなのはどうだ?」
いきなり声をかけられて後ろを振り返ったらそこには女子制服を着たC.Cがいた。


『右手に華を、左手に愛を』




「ルルーシュ、誕生日おめでとう〜!!」

パンッ!パンッ!とクラッカーの音が室内に響き拍手が上がる。
各々ルルーシュの為に見繕ったプレゼントを渡して行く。が、スザクはかなり戸惑っていた。
部屋はルルーシュの好きな白い華で飾られていて、立食の様式で揃えられた食事の飾りにも白い薔薇の華が添えられていたのだ。

スザクは背中に回した自身が選んだプレゼントをこそこそと隠した。
実は、スザクが選んだのはルルーシュが好きだと言っていた、白い百合の華だったのだ。


完璧に部屋の装飾に埋まってます…。

(軍務があったから飾り付けには参加できなかったけど、まさか部屋を白い華で飾り付けるなんて…どうしよう…このまま渡してもこの満開の華の中でたった一本の華なんて埋もれちゃうに決まってる…。会長の腕時計とかシャーリーのマフラーとかになんて敵わないよ、リウ"ァルの…DVDは、よく分からないけど、どうしよう……ぃゃ…)

まさかの事態にわたわたしている間に、皆はそれぞれプレゼントを渡し終えてしまう。
スザクの番が来て、ルルーシュも恋人のスザクからのプレゼントと少し頬も赤くなっている。
スザクは…。

「ご…ごめん、実は…」

とにかく色々考えたけどスザクは、百合の華を渡す事にした。

(だって、ルルーシュはきっとプレゼントの金額とか見栄えなんてこだわらないはずだ。そんな小さな男じゃない、だって…僕が好きになった人なんだから。)

ルルーシュなら、スザクがこの華に込めた『気持ち』を感じてくれるはずだ。

「スザク…これ本当に、俺に?」

ルルーシュは少し震えた手で白いリボンが一つついた百合の華に触れた。
「…ぅ、うん。ルルーシュが好きだって言ってたから…君に、あげたかったんだ。」

ルルーシュはワナワナと震える手でその華を受け取った。

「本当に、いいのか?」

「もちろん!!ずっと…君に何かあげたくて、悩んだんだけど結局、僕にはこれしかないなって…」

僕にあげられるもの、そんなにお金もないしセンスもないし流行りの物も分からない。
なら、これしかない。

「スザク…、皆のも嬉しいけど…お前の気持ちが一番、嬉しいよ。」

やっぱり、ルルーシュには伝わる筈だって思っていたよ。

「ルルーシュ…誕生日、おめでとう」

スザクの暖かい祝いの言葉と同時に、ルルーシュはスザクを抱きしめ、耳元で囁いた。その言葉にスザクの頬は、薔薇色に染まる。

「えぇ〜☆って事は、今日は日本風に言えば赤いライスを炊かなきゃいけないって事ね!!」

二人の世界にいたルルーシュとスザクはいきなりのミレイの声に現実に引き戻らされた。

「え?え?…赤いライス?」

「会長、それを言うなら赤飯ですよ。確かに今日はサヨコさんに頼んで炊いてもらわなくては。」

スザクだけを置いてけぼりに、生徒会員達とルルーシュは和気あいあいと楽しく会話が弾んでいく。

「ルルーシュ?」
置いてけぼりに不安になったスザクはルルーシュの服の袖をクイッと引っ張る。
そんなスザクに気付いたルルーシュは、又スザクを抱き締めて、背中をポンポンと優しく叩いて、「大丈夫」と囁いた。
何が何だか分からないけど、彼が大丈夫だというのだから、何も不安になる事などないと、スザクは安どした。

「でも、まさかスザク君が百合の華を持ってくるなんて…しかも白いリボンも。私もそうしたら良かったなぁ〜」

はぁ〜とため息をつくシャーリーに、リウ"ァルはご愁傷様と言いつつからかうように、

「でも、スザクとシャーリーが二人同時に百合の華を渡したら、ルルーシュはどっちを選ぶかなぁ〜」
とチラリとルルーシュを見る。

「おいおい、リウ"ァル。そんなのスザクに決まってるじゃないか。」

ルルーシュの満天の笑みに、ガーン!!と鐘に頭をついたようにショックを受けているシャーリーを見て、ミレイがリウ"ァルを叱咤する。ルルもヒドイ…

「でも、なぜスザクは百合の華を?もしかして、花言葉知ってたの?男の子なのによく知ってたわね。」
カレンはスザクが知っているものと思い声をかけたのだが、スザクはキョトンと首をかしげた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ