L×S

□助けてドクター
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「ルルーシュ君、無暗にナースコールをおさないでくれるかい?」

フーとため息をついて、ビン底メガネをクィっとかけなおす白衣の医者、枢木スザクは今日何度目かわからない説教を一人の患者にしていた。

「頭が痛いんだ、見てくれないか?」

そんな説教などお構い無しに黒髪の青年、ルルーシュは言った。

「本当に?」
「医者が患者を疑うのか?何て病院だ。」

スザク個人ならまだしも、病院の事を言われてはスザクは逆らえない。スザクが勤める病院はルルーシュの兄シュナイゼル氏の援助を受けているからだ。
「…だって君は、昨日もそう言って僕を呼びつけて…その…あんな、事…して」

そう、病院の援助の件もそうだがスザクはこの青年が苦手だった。
触診していても、髪を触ったり、一昨日はお尻を撫で回したり、昨日などベッドに押し倒されて、股間をまさぐられたのだ。
射精寸でで逃げ出したものの、おかげでスザクは勤務中だというのにトイレで起き上がった自身を処理するハメになってしまったのだ。

「昨日はどうしたの?もしかして自分で?」

ニヤリとイヤらしく笑い、スザクの昨日の行いを的中させたルルーシュに、カァっと顔を赤らめるスザクにルルーシュは機嫌を良くした。

「顔が赤いよ、先生の方が病人みたいだ。ねぇ、診てくれないの?」
「あっ赤くないよ!!」

先生扱いされては診ないわけにはいかない。スザクはおずおずとルルーシュの元へと近づいた、とその時。腕を引っ張られたスザクはそのままルルーシュの上に覆い被さった。

「わっ!!…ぃたぁ…ちょっ!と、ルルーシュ君」
「ルルーシュって呼べよ、スザク」

まるで高校生とは思えない艶めいたルルーシュの表情に、スザクは目がチカチカした。
瞬間、視界はさえぎられ、スザクは唇に暖かな温度を感じた。

(…あれ?…もしかしてこれ…)

「ぁ…んぁ…」

生暖かいモノが口の中を縦横無尽にはいまわっている感触に、スザクの唇から艶のある小さな声が漏れる。

(キモチイイ…)

ひとしきりスザクの口腔内を味わってから唇を離すとルルーシュはチロリと自分の舌を舐めた。
スザクはやっと通常に吸えるようになった空気を懸命に吸った。
自分が何をされたのか、まだよく理解出来ていないスザクにルルーシュは。
「キスは初めて?」
「…キス?」
ルルーシュはわざとらしくもう一度自分の唇をチロリと舐めた。
途端、スザクは自分が何をされたのは認識し、ルルーシュを押し退け、病室を飛び出した。
ルルーシュは、変わらずいやらしい笑みを浮かべていた。

スザクは病院内を走り抜けていた。ナースにぶつかったのも、治療用具の置かれたカートをひっくり返したのも、スザクの目にはうつらない。
スザクの目には、頭には、さっきのルルーシュの唇。
彼のだけでない、自分の唾液も一緒に舐めとられて彼の中に入っていったのだと考えると、ゆでダコのように顔を赤くした。

しかも、もう一つスザクの頭を混乱させている事があった。

「まさか…まさか…」

まさか、あんな強引なキスが…

「僕は…彼の事なんて…何とも、なのに…」

身体がとろけてしまう様な感覚にクラクラしてしまうほどに…

「…あんなキスが…キモチイイなんてぇぇぇぇぇえ!!!!!!!!!!」


屋上に駆け込み、夕日にむかってシャウトするスザクの叫び声は病室にいる、イヤらしい微笑みを浮かべたルルーシュにも届いていた。

「明日は、何をしようかな。」

スザクの受難は続くようだ。

END…………?
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