L×S LONG

□「我が至極の皇帝〜Emperor extremely of my.」
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「我が至極の皇帝〜
Emperor extremely of my.」



序章  【人間・幸福・真実】



 歓声がわき上がるブリタニア共和国・首都ペンドラゴン。今日は5年前、最悪の支配者が英雄によってほふられた革命の日。その記念日は毎年盛大に祝われていた。
数人の人間以外に…。

「…今日だけは、何も考えずに元気にって、気分にはならないな。」

長身・金髪の美青年、ジノ・ヴァインベルグは黒い親衛隊服に身を包み、緑のマントをひるがえし、フォックをカチッと止めながら苦笑いした。

「仕方ないでしょう。悪逆皇帝の命を、英雄ゼロが討ち取った…民衆にすればまさに革命記念日なんだから。」

真っ赤に燃えるような髪と豊満な胸に思わず目を引く美女、紅月カレンはその真っ赤な髪をかいた。

「ジノ、カレン、遅刻する…。」

ジノとカレンの後ろに気配もなく立っていたのはピンクの髪の美少女、アーニャ・アームストレイム。グラマラスとは言えないがスレンダーな美人だ。二人より頭二個分ほど背の低いアーニャ、だが昔の彼女を知るものからすれば育った方だ。


ロッカールームを出て来た三人は横に並んで歩いても、まだ余裕のある広い豪華な廊下を歩いている。三人はブリタニア共和国首都、ペンドラゴンにある皇族居城にいる。

とはいえ、皇族制度は廃止されたので、今はブリタニアの政治的な役割をはたす場所、国会議事堂のような所となっている

「そういえば、アーニャが来て初めての革命記念日だよね。何でまたゼロの親衛隊に入ったのよ。」

「もう入って半年になるのに今さらだな、カレン。」


「だってなかなか聞けなかったんだもん。」


自分の頭上で繰り広げられる会話に、静かに入り込んだのがアーニャ。

「…ジェレミアの相手に疲れた…というのはジョーク。」

その感情をあまり表に出さないアーニャが冗談を言っても大笑い出来る雰囲気には、申し訳ないがならない。

二人は、ハハ…と苦笑いした。



「これは、約束。」



「約束?」



カレンがアーニャを見て首をかしげた。



「…ナナリーが心配だった。無理、してるんじゃないかって。

友達だから…」



その言葉にジノが深く溜息をついた。



「ん〜。確かに。強くはなったけど、彼女…無理してるとこあるもんな。」



ジノが言った言葉にカレンは依然、まだ十代だったころ先輩のミレイ・アッシュフォードに言われた言葉を思い出した。



『いつかは、擦り切れてしまうものよ。』



ひっぱれば伸びるゴムも、ピンッと張った紐も、あまりに強い力を長く与えられれば、いつかはプチっと切れてしまう。

「でも、俺はスザクの方が心配だな。」



「こら、ジノ!あいつの名前は出しちゃだめだって。誰が聞いてるかもわからないのに。」


カレンの忠告に、ジノは「しまった!」と言って、自分の口を大きなその手で塞いだ。



「悪い、悪い。だってしょうがないじゃん、友達なんだから。」



確かに二人は友人として深く信頼している仲だが、現ゼロが、スザクが特定の人間以外にその正体が知れることは非常にまずい。



「でも、だからこそ彼の正体を知っている私たちが一番注意しなきゃいけないじゃない。彼の正体が知れれば、民衆はきっとまた暴動を起こすわ。それは、ゼロの…ルルーシュが望んだものじゃない。

彼が望んだ優しい世界を、私たちは守っていかなきゃいけない。



(それが、彼を犠牲にして手に入れた平和の中で生きる、私たちの罰だと…)」
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