小説

□ゼロスサイド
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僕はその時、自分の中にある面白くない感情にムシャクシャしていて、ワンピース型の寝巻きという何とも無防備な姿で僕を呼び出したリナさんを押し倒すのにそう時間はかからなかった。
「―――っつ んんっ」
深く口付けると甘い吐息が漏れる。緊張しているのか、抱きしめた腕の中で小さく縮こまっている。
「いま、良くしてあげますよ」
そう言って薄い布越しにそっとカラダの線をなぞっていく。感度の良いカラダはそれだけで十分に感じているようだ。
「んっ」
「ひゃあ」
「あっ」
声は次第に普段からは創造もつかない程の色気を含んでいく。
熱い彼女の中はとろける様に気持ちが良く、僕は夢中で行為を続けた。


いつの間にか彼女の両腕は僕の背中に回され、抱きつく形となる。
いや、これは・・・
たどたどしくも優しく僕の背中を撫でていた。まるで子どもをあやす様に。

「ゼロス?」
急に動きの止まった僕を不思議に思ったのかリナさんが呼ぶ。
「その・・・起こってないんですか?こんな無理やりしたのに」
彼女は優しく微笑みながら答えた。
「あたしが誘ったのよ。だからあんたはウジウジ悩んでないでさっさと元気になりなさい」
「好きで良いんですか?」
「あたしが、好きでもない奴にこんな事許すと思う?」
「はい」
僕は安心して、優しく、でもしっかりと彼女を抱きしめた。

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