□俺の側に
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「師父好きですよ」
俺は師父を後ろから抱き締めて耳元で囁いた
「どうした?槇紅」
師父は後ろにいる俺の髪を子供をあやすように撫でてくる
「…俺、子供じゃありませんよ」
「いくらお前が長い時間を生きたって、いくらお前が俺より世界を知ってたって…温もりを知らなかったら、俺にしちゃあまだまだ子供だよ」
師父は俺の方に身体を向けて俺の首に細い腕を回してきた
「師父は?温かかったんですか?」
「温かかったぜ、ずっと…ずっと白がいてくれたからな…」
なんか…ムカッときますね、側にいるのは俺なのに
「…俺の前で他の人の話ですか?」
「クスッ…白に嫉妬してどうすんだよ」
「師父は俺のものです、他の人には渡しません…最近は羅漢さんとよく食べに行ってるし……」
「羅漢とはただの友達だ、一番はお前っ…」
俺は喋っている師父の唇にできるだけ優しくくちづけた
「ふっ…んんっ……ふわぁ…てん、こう」
「ずっと側にいててください…」
「槇紅…俺はずっとお前の側にいるぜ、お前は寂しがりやだからな…」
師父は俺のことをギュッと抱き締めて俺の今まで欲しかった言葉をくれた
end