ドM症候群Book

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「いいじゃん、ね?」




彼は水道で顔を洗っていた。
真夏とはいかないが、そろそろ夏休み。 スポーツをしたら、いくら蓮二でも汗く らいかくだろう。
ってか、その前に長ジャージ脱げよ、暑苦しい。




「暑苦しくて悪かったな」

「ひぃい!勝手に心読まない d…っぁ!!ウソです、今のはウー ソー!!」

「隠しても無駄だ。口に出ていたぞ」




冷や汗を思いっきりかいて、わたわたし た。
彼は全くもって平然としていた。
もしかして、ずっと言われてたのかな?
蛇口を絞めた彼に向ってタオルを差し出す。




「で?何がいいんだ?」




タオルで顔を拭きながら、水道から私の ほうに向きなおった。




「いや、だから――……」



.

.

.



一通り話終えると、口を固く結んだまま 黙っている彼。




「っていうこと。ね?協力しようよ!」

「却下」




『なんで』と聞こうとする前に、蓮二は 後ろの茂みに向かって言葉を発した。
蓮二もとうとう頭のネジが……




「いい加減にしろ、貞治」

「え?」




頭のネジが…とかいってごめんなさい。
言葉通り茂みからぬっ
と乾さんが出てきた。
しかも不敵な笑みを浮かべている……こわい。




「ふっふっふっふっふ……今の話、聞か せてもらった!」




ガサガサ、と音をたてながらこちらに歩み寄る。
蓮二はというと、物凄くめんどくさそう な顔をしている。




「で、用件はなんだ」

「朱鷺原さん、俺は協力しよう。いや、 させてくれ!」

「本当ですか?!」




うわー、さっき………というか現在進行 形で気持ち悪いと思ってしまってすみま せん。
乾さん、やっぱりいい人!


実を言うと乾さんは、常々海堂くん達の ことをどうにかしたいと思っていたらしい。




「海堂くんも、好き──なんですよ ね?」

「あぁ、データ上はね」

「データ上は?………」

「海堂は気付いてない。だからやっかい で──」




乾さんと話し込んでしまった。
後ろを振り向くと、蓮二の背中が見えた。




「あ、ねぇ!ほんとに協力、しない の?」

「しない。やりたいなら勝手にやってい ろ」




そのまま去っていく彼に向かって、口を 尖らせた。
なんて冷たい人なんだ。


まぁ、私には乾さんがついてるし! 困るこ
とはなさそう!





そして、"後輩の恋を応援し隊"が 結成された土曜日の午前。





喜べ、我々は青春の まっただ中にある!
(青い春を謳歌しています!!)





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珍しく空気な蓮二www
 

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