ドM症候群Book
□09
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「おはようございまーす!」
朝から元気な挨拶が聞こえる…。
寝起きでまだ覚束ない足どりで食堂に向かう。
顔を上げて声の主を認識する。
「あなたは───」
「あ、立海のマネージャーさんですね!おはようございます!」
青学のマネージャーさんだった。
確か、私より1つ年下だとか。
チラッとしか見たことがないが活発で元気な子だ。
でも、笑うとフワリと柔らかい花のようだった。
可愛いというよりは愛嬌のある子だな。
「おはようございます……あれ、どうしてご飯の準備なんか──」
「聞いてませんか?食事はマネージャーが作るらしいですよ?」
「はっ?!マジで?!」
「ふふ、マジです」
「ご、ごめんね!じゃ、私も作んなきゃだよね!」
急いで彼女の隣に着く。
………で、えーっと……
「何したらいいのかな……私こういうの苦手で……」
「じゃあ、私が教えますね!こう見えて、一応実家が料理屋なので」
「へー!すごいね!よろしくお願いします!先生!」
「先生はやめてくださいよ、朱鷺原さん」
あははと笑い合う。
それからと言うも の、仕事をこなしていくうち
に私達は仲良くなった。
部員が試合をしている時は、ほとんど暇。
ましてや強豪校同士なんて、1ゲーム取るのも時間かかるのに。
長引く試合ばかりに決まってる。
「朱鷺原さんは、彼氏、いるんですか?」
「えぇっ?!な、何を急に…!」
「あ、ごめんなさい、答えたくありませんでしたか?」
「いや、別にそういうわけじゃ……。……います…けど、一応……」
様子を伺いながら言うと、彼女は顔を明るくした。
「あの、朱鷺原さんから告白したんですか?」
「え、うん……。…でも、一回フラれて、そのあと向こうから……ってな感じかな?」
「そうなんですか!」
参考になります、といわんばかりの頷き。
あれ?これはもしや………。
「好きな人、いるの?」
「はぅぁあ?!!な、な、な、何故それを………!!!!!!」
「なんとなく。で?もしかしなくてもテニス部員?」
「…はい…あの人です…」
恥ずかしそうに指を指すのはバンダナの少年。
如何にも、怖そうな顔。
名前は確か……
「海堂薫……幼馴染みな んです…。」
「そっか、告白しないの?
」
「で、できませんよ!薫ちゃんは私の事……嫌いですから。」
「?どうしてそんなこと──」
「おい、朱鷺原!ドリンクどこにあるんだー?」
疑問符が頭に付いたと同時にコートから声がかかる。
「あ、ごめんなさい、朱鷺原さん。……仕事しましょうか!」
「あ、ちょっ……。……ブン太のバカ!!」
「あ?なんだよ…?」
青マネさんはペコッと頭をさげて、走っていった。
ふぅ、とため息をつくとさっきのバンダナ少年──海堂くんが目に入る。
彼はある一方を真剣に見ていた。
あれ、どこ見て──?
あぁ、そーゆーことね。
もどかしいなあ、まったく
(彼の視線の先に、彼女)
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薫ちゃんが可愛くて仕方ないんです。
弟にしたい。