テニスの王子様 Book

□真田弦一郎
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告白されるなら?
A.『海!』

そう答えたのは確か、2年前のことだった。
私が中学1年のとき。
それを覚えているなんて、どこのキザ野郎かと思ってた。
ここにいるなんて…。




「弦一郎?何言ってんの…?」

「何度も言わせるな、好きだ。」

「……えっと…カニが?」




弦一郎の手にはカニ、視線の先もカニだ。
それではまるで、カニに告白しているようなものだ。




「たわけ、そんなわけないだろう。」

「えっと、じゃあ…?」





「俺が言っているのは……」

「うん。」

「その…なんだ、……」




潮風が頬を撫でる。
彼の声が静かに心に染みる。
ザザーと波が近くなったり、遠ざかったりしている。
そんなのを耳にいれつつ、目を瞑る。
彼の声がしっかり聞こえるように。


少し咳払いをして、カニを逃がす。
カニは『助かったー!』と言わんばかりにオレンジ染まった海へシュタタタと走って行ってしまった。





「好きなんだ、ナマエ。お前の事が。」





海辺の夕暮れ
(うん、私も。)






 
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