ドM症候群Book
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文化祭の次の日の朝、学校へ行くと、校内掲示板に人が群がっていた。
校内掲示板とは、RIKKAI通信というものでウチの学校の新聞部が行事や部活状況を随時お知らせしてくれる、ありがたい通信だ。
きっと、この前あった文化祭の事だろう。
仕事が早いね。
人だかりの後ろで背伸びや跳びはねてみたけど、全然見えない。
すると、私に気づいた生徒たちが…
「……おい、後ろ。」
「あっ!あの人…ネズミの…」
「本人のお出ましだ。」
と口々にいう。
何の事だぁ?本人?
すると、一番前の人も私に気付き、皆が私に道を開けた。
おぉ、金持ちっぽい…。
「…何々…?文化祭、ベストカップル賞ぉ?!」
よく見ると、演劇部門と書かれていて1位と大きく書かれているのは…
「劇:シンデレラ…の、王子(3年C組幸村精市くん)とシンデレラ(2年B組西村麗華さん)……?」
コメントを見ると、美男美女カップルが堂々の一位!!
と書かれている。
貼付けられた写真は、調度ガラスの靴を履かせるシーンだ。
2位が竹取物語、3位がロミオとジュリエットだった。
皆美男美女で、憧れる。
「朱鷺原、右っ右っ!」
聞こえた声に忠実に、右を見てみる。
……ん?
えーと、何々…
「審査員特別賞……劇:シンデレラ、魔法使い(3年F組柳蓮二くん)とネズミA(3年C組朱鷺原若菜さん)…………?!」
写真は幕が開いたところ(柳が私に抱き着いたようにみえるところね。あくまで“〜ようにみえる”だから)。
綺麗に写っている。
『魔法使いがネズミにまさかの求愛!』
という小見出し。
よく見ると1位よりも若干、いや明らかに記事が大きい。
……王子様と魔法使いに何か言われそうだ。
恐ろしや。
「おい、朱鷺原、朱鷺原!」
「ん?…あ、ブン太。」
さっき、“右っ”と教えてくれたのはブン太だったのか。
「どーだ!特別賞取った気分は!」
「最悪っ!ってか何、“審査員”って誰!」
「お前、知らねぇの?学校の影で権力を握る7人の生徒だよ。名前学年共に不明。」
うちの学校って…一体…。