ドM症候群Book

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「お母様、私も舞踏会へ行きたいわ。」
「いえ、いけません。貴女は留守番です。」



衣装(私と赤也は勿論ネズミの着ぐるみ)も決まり、明後日が本番だ。
皆気合いが入っている……。
それにしても、麗華ちゃんも柳生も様になりすぎている。
すごい。

無事に練習が終わり、私は柳を探そうと辺りをキョロキョロした。
すると頭にいつものような衝撃が走る。



「…いてっ。」
「何をしている。」
「な、何って…柳、キミを探してたの!」



そう言って、近くの日陰に入った。
流石に着ぐるみを着たままだと暑い。
いつの間にか柳も隣に座っていた。



「朱鷺原」
「ん?」
「似合っているぞ。」
「え………っ」


 
微笑みかけながら、私に“似合っている”だなんて…。
キュンっ!
………いやいやいや、似合っているって、ネズミの着ぐるみがぁ?!
しかもあんな綺麗な微笑で。



「馬子にも衣装だな。」
「え、いや、何。ネズミの着ぐるみ着て、いつもよりマシに見えるってか!喧嘩売ってんの?!」
「ほぅ、よく意味が分かったな。少しは脳にシワが増えたんじゃないか?」
「余計なお世話!」



プンッと顔を振ると、そこには大爆笑している部員の姿が。



「もう、お前らM−1出ればいいよ。…ははっ」
「どんな漫才だよ。…ぶっ!絶対売れるぜぃお前ら。」
「うるさーい!」


 
わーーーー!と雑音で会話を消した。
ジャッカルとブン太は呆れ顔で首を竦めた。
何が言いたいんだ、もう!!
…気付くと柳はもういなくて。
神出鬼没だなぁ、と思いながら着ぐるみを脱ぎ、片付けに行く。
………あれは…。
チラッと見えた二つの陰。



「柳と……麗華ちゃん……?」



仲良さそうに話す姿は、まるで一枚の絵のようだった。





 
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