ドM症候群Book

□08
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仁王に悟されて自分でも考えてみた。
何回考えても、必ず同じところにたどり着くのだ。
私は…きっと…。



「朱鷺原ー!」



呼ばれて後ろを振り向く。
バシン!
と鈍い音ともに背中に激痛が走る。



「いったぁ…!ぶ、ブン太!」



背中を叩いたのはブン太だった。
ブン太は『一緒に帰ろうぜぃ』と私を誘う。
別に断る理由もなかったので、二つ返事で了承した。
帰り道、ちょっとジンジンしている背をよそに、ブン太はペラペラと話を始める。



「…─でさ、そいつが──…」



いろんなことをずっと話してくれる。
……変だ。
何だか優しすぎる。
いつものブン太なら、お菓子あげるとか、何かをあげないと私なんかに着いてはこない。時々楽しく話してくれるが、いつも最後に『お菓子くれ』とねだる様は、まるでピッグである。
というか、今日私を誘ったのも目的のほうがよく分からないのだけれど。



「私、今日お菓子もってないよ!」
「…はぁっ?!」
「あれ、お菓子欲しいんじゃないの?」
「違うって!!」



てっきりお菓子が欲しいから私と話しているんだと思ってた。
なんだ、違うのか。
…もしかして…ブン太は。



「私、もしかしてブン太に、気使わせてる?」
「…っ?!」



あからさまにビックリしているブン太をそのままにして、2・3歩先を歩く。
そうか、きっと仁王にでも私と柳の事を聞いたんだろう。
私が沈んでいるから、元気付けようとしてくれていたのかな…。
歩いていても後ろから足音がしないことに違和感を感じ、振り返る。
すると、携帯をパチンと閉める音がして、ブン太が私の方に歩み寄り、手を引いて公園に入った。



「ブン太…?」
「ちょっと待ってろぃ!」



そういって私をベンチに座らせた。
ブン太は軽く走りながら公園を出て右に曲がる。
それと同時に姿が見えなくなり、4・5分待つことになった。
ふいに、汗が額から頬に流れ落ちた。
まだ辺りは暗くなく、お日様がギラギラと輝いている。
何すんのかな〜とボケーとしていると、慌ただしい足音が聞こえる。
見るとそれはブン太で、両手に黄色いかき氷を持っていた。







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