ドM症候群Book

□06
1ページ/4ページ




私、頑張りました!
マネージャーって、大変ですね!
部誌に、鞄持ち(柳の)、タオルもあげるし、ドリンクも買ってくる(柳の命令)。
ボールを拾い、暇潰しに弄られる(柳に)。
勉強を教えてもらい(柳に)、必ずデコピンをくらう(柳の攻撃)。

って、私犬っぷり発揮しすぎでしょう!
今日の今日こそは、犬から抜け出して、彼女になってやる!!
『うふふ』『あはは』を想像し、有頂天になっている私は、このあと『うふふ』の”う“の字も出なくなるのだが。

柳に頼まれていた、お茶を自販機で買ってきたところだ。(私のお金←重要)
F組に向かう。



「(あっれー?柳は……?)」
「すごーい!じゃ、これはどうやるの?」
「あぁ、これは、……」



この間の女の子達だ。
教えにもらいにきたんだ、あの妖怪に。
そう言えば、『いつでも教える』とかいってたな…。
何考えてるか分からないような、怖いデータマンに話しかけるとか、勇気がいただろうに。
でも、なんだ、この気持ちは。



「…ん?朱鷺原か。」
「あ、これ、買ってきたから。じゃ。」
「すまないな、頼んで。」
「いや、いいよ。」



軽く手を振って早め早めにこの場所から抜け出したいと願う。
私が背を向けたとき、後ろから声がした。



「ありがとう」




そう言った彼の声が心に響く。
何に対してなのか、私に対してなのか分からない、ただのありがとうだけど…
嫌だ、嫌だ、なんかすっごく嫌だ。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ