テニスの王子様 Book

□Happy X'mas
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『少しは女の子の気持ちも考えなさいよ、馬鹿ァ!!!』
『言葉にしないと分からんだろうが!たわけ!』
『誰がたわけだぁ?!女馴れしてないにもほどがあるわっ!この、サナダムシ!』



…そんなケンカをしたのは数時間前。
私達にとっては、始めての大喧嘩。
そして今日は、付き合い始めて1回目のクリスマス。
…真田、怒ってるかなぁ…。
嫌われたかなぁ…。

怒った原因は、彼がクリスマスに部活(自主練習)を入れたこと。
恋人達の(←重要)クリスマスであるのに。
この日ばかりは、幸村くんも柳くんも彼女と過ごすのに。
何故、アンタだけ彼女を差し置いて練習なんだ。
それにプラス、付き合ってだいぶ経つのにあまり恋人らしいことをしたことがないのも原因の一つだ。



「…真田のばーか。」



そう言った瞬間、携帯がなった。



「もしもし。」


 
電話の相手は真田だった。
大事な話があるから公園まで来てくれ、ということだ。
…大事な話…か。何だろう…。
嫌な予感がよぎったが、仕方なく公園へ向かった。
冬の夕方5時で、あたりは暗くなっていた。



「真田…」
「ミョウジ…、言いにくいんだが…。俺達、このままでは上手くいかないと思うのだ。」



『上手くいかない』という言葉でふと“別れる”事を悟った。
別に別れたくてケンカをしたわけではない。



「…別れるとか、嫌だよ!」
「……っ?!」
「だって、だって…私は…真田の事、好きな…っ」



言葉が途中で遮られた。
目の前がより暗くなったのは、抱き締められたからである。



「そうではない。…上手くいかないから、その…少しずつ、進んで行こう…と言いたかったのだ…。」
「…な…っ!…て、てっきり…別れ、話、かと思っ、て……!」



頬に涙が伝った。
真田は苦笑するように頭を撫でてくれた。
また泣きそうになったが、一生懸命笑顔を作った。




帰り道、寒いと言ったら手を繋いでくれた。



少しは近づけたのかな。




Happy X'mas
(不器用な恋人達へ)




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