テニスの王子様 Book

□柳蓮二
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「で、言うんスよ、そのエメラルドグリーン色のパジャマを着た男が…。……俺の点滴は…」

「ぎぃやぁぁあああーー!!!!」




奇声を上げたのは勿論私。
やっかいなこの性格─…怖がりなのに聞きたがりな私はただいま物凄い苦痛を受けています。
ミーティング中、赤也が私に怖い話を振ってくるのだ。




「ミョウジ!!うるさいぞ!!」




ごめんと、小声で真田に謝った後隣の赤也を叱ってみる。
するとワカメ頭の彼はニヤニヤしながらまだ話を続けようとしていた。




「俺の点滴を外してく…」

「だからもう、いいってば!」




小声でのやりとりをしたあと、丁度朝のミーティングが終わった。
そのあと、自分の教室へ戻り、授業が始まる。



3時間目…国語
私の苦手科目が来てしまった。
私は寝る体制に入った。
しばらくすると、昨日の夜更かしもあり直ぐに眠りに着くことができた。




『ミョウジ先輩…』




赤也…?




『あの…』




あれ、何でそんな色の服を…




『俺の…』




そんな…エメラルドグリーン色の…




『…俺の…点滴は…何処だぁ!!!』




「いやぁぁああああ!!!!!」





バッと顔を上げると、そこには友達が数人そばにいた。
キョトンとしていると、一人が笑っている。




「はいはい、ナマエ、もうお昼だよ!」

「……へ…?!」




どうやら私は4限目まで寝ていたらしい。
ハッと我に返って、鞄の中からお弁当を出す。
それから走って屋上に行った。
バタン!と音を立ててドアを開ける。




「蓮二!ごめん、ごめん。」

「いや別に。先ほど来たばかりだ。」




それから、幸村と真田も来て一緒にお昼ご飯を食べて、他愛もない話ばかりしていた。
教室に帰る途中、蓮二に呼び止められた。




「ナマエ、今日は生徒会の集まりがあってな。遅くなるから先に帰っていてくれ。」

「あ、分かったー!生徒会頑張ってね。」





そう声を掛けると、彼は微笑を浮かべ『あぁ、ありがとう』と言った。
自然と頬がニヤける。
その後教室に戻り、6限まで適当に授業を受けた。
部活の時間になり、テニスコートへ向かう。




「せーんぱい♪」

「あっ…赤也ぁああ!!赤也のせいで変な夢見ちゃったじゃん!」

「そうなんスか?」




赤也はニヤッと笑って私の耳元でコソコソと話した。
聞いた私は目を丸くし、固まる。




「赤也、部活に集中せんか!!ミョウジ、仕事をサボるな!」




真田の怒鳴り声で、赤也は渋々離れた。
ありがとう、真田。
…今の赤也の話…っ。
ううん、考えちゃダメ、どうせ帰りには忘れちゃうんだから!
そう考え、仕事を進めた。




「全員、集合!今日の部活はこれで終わりだ。解散。」




幸村の言葉で皆が指示どうりに動く。
流石部長だ。
周りはだいぶ暗くなっていて、『早く帰らなきゃ』と思ったが、まだ仕事が少し残っていた。





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