テニスの王子様 Book

□仁王雅治
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「あ…失敗…」




鏡には、ハサミを持った私…と…切りすぎた前髪が写っている。
『失敗した』と言うのは…お分かりだろう…前髪を切りすぎたのである…


ショックだ…
今日は席替えして、初めての一日なのに…
やっと、あの人の…隣になれたのに…


そう考えながらも、学校に向かってしまう自分の足が憎い。
道を歩いていると、自分を見られているような気がして、思わず鞄を両手で抱え、肩をすくめる。

席に座ると同時に顔を伏せる。
ゴンッとおでこをぶつけたが、気にしない。
しばらくそうしていると、たくさんの人が教室に入ってくる…
気付くと、隣の席の椅子を引く音がする…




「(仁王くんだ…ッ)」




彼は、何故か私の肩を叩いた。





「どうした…ミョウジ?…気分…悪いんか…?」




仁王くんが…声かけてくれてる…
や…やば…




「あ…だ、大丈夫だょ!!うん!元気!」




私は、前髪を手で押さえつけて仁王くんに顔を見せた。




「…そうか。ならよか。………。」




見てる……めっちゃ前髪見てるッ!!
いっそ、開き直ってしまおうか……
悩んでいると、仁王くんがスッと腕を伸ばしてきた。





「!?」




おでこに押さえつけていた手が、静かに下ろされる。
彼は私を見て…
クス…っと微笑んで、前を向いた。
少しの間、目を奪われてしまった…




「…その前髪。」

「え?」




仁王くんが、呟く。




「…可愛いナリ…」




彼の顔は、心なしかほのかに赤かった。




静かに鼓動が高鳴っていくだけで……







隣に君が居れば
(…これからよろしく…ね///)






 
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