テニスの王子様 Book

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『蓮j…』

『…だろぃ?』




声が重なった。
部室の裏から聞こえる大きな声と衝撃な言葉。




「ミョウジと柳どうなったんだろうなー」

「まさか、ミョウジが柳の事好きだなんて予想外だったぜぃ。」




丸聞こえなこの会話…。
ムードも何もあったもんじゃない。
私はわざとらしく咳ばらいをした。




「あ」

「何…してんの……!!!」




私に気付いて青ざめていくブン太とジャッカル。
目を泳がせ、何も言わずに走って去って行った。
再び私と蓮二だけになる。
沈黙が続き、何を話したらいいか分からない。




「あ、その…今のは…わ、忘れてっ!」




そういって、走り去ろうと…思ったが。
私の腕をガッチリと掴んでいる彼がいるのだ。




「待て。」




一言だけいうと、半歩こちらに近づいてきた。




「忘れるなんて勿体ないことはできないな。」

「…え?」

「せっかく両想いと分かったのに、忘れろと?全く酷なやつだな。」





……?
何、今なんて言ったの…?
頭の中でリピートしてみる。


『リョウオモイトワカッタノニ』?


え、まさか!




「りょ、両想いって、えっ?!何、え!!」




手足をバタバタさせていると、彼は口元に手を添えて笑っていた。
何故笑っているのか。


その前に、何故私が好きなのか。
いやいやまさか、冗談なのか。
いくら幼なじみでも分からない…。


その気持ちを見抜いたかのように、彼は顔を近付け、私に囁いた──。





そして数秒後、私は幼馴染みの前で顔を茹でダコのように真っ赤にしたことは言うまでもない。







もう恋は始まっていた
(──昔から、ずっと……
俺はナマエが好きだったんだ)





 
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