夢
□Star Festival
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幾億の星が瞬く夜空に流れる大きな星屑の川
‐天之川‐
年に一度、7月7日の今日だけ、この大きな川に橋が出来る。
川岸で互いに彼方の岸に居る想い人達のために…。
Star Festival‐序幕‐
夜空に浮かぶ天之川を明かりを消した部屋で窓際に座り黙って眺める陰が一つ…。
祭りの帰りなのか、浴衣姿で壁に寄りかかっている。
美しい夜空とは裏腹に、その陰の主の横顔は酷く寂しそうだった…。
「織姫と彦はもう出会えたのかな…?」
艶のある朱色の唇からポツリと呟かれた言葉は、誰に掬い取られる事も無く、静かに闇へと消えていった。
此数日、忙しく大好きな彼の人に会えていない。
幾日か前までは一人も平気であったが、何かが心の何処かに穴が空いたようで、物足りない。
電話やメール、文だけでは満たされない想い。
「…待ってるだけじゃ…駄目だよね…」
意を決したのか立ち上がり、夜空の下へと出て行った。
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