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□お酒と月とそれからお前
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その問い掛けに髭の男は、噴き出していた。
いや、煙が違うところに入ったのかむせている。


――‥アスマ何その反応。


それもそうだろう。俺自身弱いとは思っちゃいない。
木ノ葉一の異名さえ持ってる俺。


それでも伝説の三忍を前にしたら、俺なんてちっぽけで弱いんじゃないかと思ってしまうんだ。


「なぁカカシ、今から一杯やらねぇか」
話ならそこで聞いてやるとアスマの一言でやって来た居酒屋。



俺は、やり場のない思いを掻き消そうと酒を飲む。
お互い先生なわけで、酒が進むにつれて話はもっぱら教え子のことになっていった。

「お前んとこのシカマル、すっかり成長したねー」
うちのナルトが嫉妬しちゃって‥‥なんてもうアスマは聞いちゃいない。
「そうなんだよ」と誇らしげに語っている。

その顔は本当に嬉しそうで、でもどこか寂しそうだった。


「それを言うなら、お前んとこのうずまきだって自来也様がついてんだろ?」

悩んでいたことの核心をつかれ、笑うしかなかった。
笑いながら俺は、グラスに残った酒を飲み干した。


「おい、お前、飲み過ぎじゃ‥」
アスマの制止も無視し、もう何杯目かわからないおかわりの注文をする。

隣からはため息が聞こえた。
――なんだかんだいいながら最後まで付き合ってくれるアスマは優しい。本人には絶対言わないけど。





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