□顔より中身って言うけど所詮は顔なんだろおまえら!!(近土)
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「いいよなぁトシは!!格好よくてさぁ〜」
近藤さんがいきなり、そんなことを言ってきた。
「大丈夫だって、あんたも十分格好いいよ」
言われ慣れてる俺は謙遜言うのも面倒でなげやりにそう返した。
「トシ...それ本当に褒めてくれてる?」
近藤さんが恨めしそうにこっちを見ている。
「ほんとだって、」
「むーっ...」
近藤さんは納得いかないといった顔で俺がまとめた書類に判子をたたいている。



書類が終わらない!!
と、近藤さんに泣き付かれた俺は近藤さんの部屋で一緒に事後報告書を片付けていた。
俺の方は大分終わったが、デスクワークが苦手な近藤さんはまだ山の半分も終えていなかった。
「だってさぁ、不公平じゃん!!トシなんか外出るたびにラブレターもらったり告られちゃったりしてんのに、俺なんかそんな経験全くないんだぜ!?」

確かに俺は見回りや休日に外に出たりすると、必ずと言っていいほど何かしらもらってくる。
「別に。あんなもん、好きでもなんでもねぇ奴からもらっても嬉しくねぇよ」
「えーっ!うそーん!!やだぁ〜トシちゃんてばあんな可愛い子達にキャーキャー言われて何も感じないなんて、もしかしてホーモー!?…あ、そうか。相手俺ジャン!勲ちゃんったらうっかりサン☆」
「……」
もはやどこからつっこんだらいいのか…
思わず顔を手のひらで覆って考え込んでしまった。
「…アンタ、まだぜんぜん終わってねーじゃねぇか。しゃべってる暇があったら手を動かしてくれ近藤さん!!」
「ちぇーそんな照れなくってもいいじゃーん」
ぶーぶー言いながらも手を動かし始めた近藤さんを横に、俺は少し焦っていた。



―アンタは十分もててるよ、近藤さん…



きっとこの人は知らない。
俺が何回、アンタ宛のラブレター預かってきたのか。
俺が何回、アンタへ告白するための手助けを頼まれたか。

そのたびに俺が、どんな気持ちでその手紙持ち帰ってたか。
頼まれるたびに、どんな気持ちで断ってたか。


絶対に知らないし、教えない。




恥ずかしすぎて言えるわけないだろ?

無理やり持たされたアンタ宛の手紙。
…こっそり捨ててるの。



直接渡さなかった女どもが悪い。
俺なんかに渡すからだ。


俺がどんなに嫉妬深いかも知らないで。




近藤さんには嫉妬してるなんて…女々しすぎて、恥ずかしくて、絶対言えない。

だからきっとアンタは、一生自分がもてないなんて勘違いしながら生きてくんだろうな?




…ごめんな?






でもすっげぇ悔しいから、
絶対教えてなんか…やらねぇよ。
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