NARUTO短編集
□大蛇丸アジトにて
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──サスケ…オレたち…
──サスケくん、私たち…
──ついにここまで、来た──
ナルトとサクラ、そしてカカシの代理であるヤマトに、新メンバーのサイを加えた新生カカシ班は、
大蛇丸のアジトと思われる洞窟に侵入していた。
目的は…サスケの奪還である。
迷路のように入り組んだ内部の造りに、ヤマトは分散しての捜索を言い渡す。
ヤマトとサイ、ナルトとサクラに分かれ、それぞれ別方面の探索を開始していた。
「サスケ…必ず連れ戻してみせるってばよ…」
「…ええ、そうね」
決然たる瞳を前方に見据える。
そう、今はただ、前だけに──
「…それにしても」
サクラが、ずらりと並んだ部屋のドアを順に開けながら呟いた。
別の部屋を確認していたナルトは、サクラの小さな声に反応して尋ねる。
「何か言ったか?サクラちゃん」
「サスケくん、こんなジメジメして薄暗くて陰気なところにいて平気だったのかしら。病気になってないといいけど…」
心配そうなサクラに、ナルトは一瞬、複雑な表情を浮かべた。
しかし、すぐさま何かを思いついたらしく、ニヤッと笑みを浮かべる。
サスケは取り戻す。
けど、その後すぐに、サクラちゃんがサスケのヤローとイチャイチャすんのもおもしろくねーから、
それまでにちょっとだけサスケのイメージを変えといてやるってばよ!
「そぉかー?サスケは案外こういうところの方が落ち着くかもしんねーってばよ」
含みのある口調に、サクラは眉をひそめた。
「どういうことよ?そんなわけないでしょー」
非難の目でナルトを見る。
辺りをサッと見渡し、こんな気味の悪いところ、と漏らした。
「あいつは元々、無口で無愛想で陰気な奴だったってばよ」
ナルトの物言いに、サクラが噛み付きそうな顔で反論する。
「バカね!あれはクールでかっこいいっていうのよ!」
「けどさ、けどさ!オレ見ちゃったんだってばよ」
ナルトはわざとらしく声を潜めた。
サクラはムッとしながらも興味をそそられる。
「なによ」
「サスケのやつ、昔、アカデミーの薄暗ぁい理科実験室で、ブツブツ何か呟いてたことあんだってばよ。多分人体模型としゃべってたんだぜ、あれ」