宝もの
□その先にあるもの
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同期合同任務から無事に帰還した俺達は、通い慣れたいつもの店へ向かっている。
隣を歩く親友は表情を見なくとも伝わるほど気分上々、俺らの少し前を歩く二人も久しぶりの肉の味でも思い出しているのか、満面の笑みを浮かべている。
そして目的の店の前で佇んだ俺らは、貼り紙を見て愕然とした。
「しばらくお休みさせて頂きます…だとォォォ!?」
ギリギリと歯を食いしばりながら貼り紙に睨みをきかせているキバの隣にいたチョウジは、先程より明らかに痩せたように見える。
「しばらくって…ねぇシカマル!!しばらくってどのくらいなの!?」
「知るかよっ!俺はここの店主じゃねぇ!」
痩せ細ったチョウジは動揺を隠せない様子。
そりゃあそうか…大好物をしばらくお預けされたんだ、コイツの気持ちを考えたらやり切れねぇ。
「けど…どうすんだ?このままじゃ俺、サクラちゃんに半殺しにされちまうってばよ」
貼り紙を見つめ肩を落としていたチョウジの隣で、ナルトがぽつりと呟いた。
奴の言葉で俺達は一斉に溜め息を吐き、名残惜しそうにその場から動こうとしないチョウジをどうにか慰めながら、俺はある提案をした。
「要は焼肉が食えりゃいいんだろ?だったら話は簡単じゃねーか!俺らが材料調達して即席のバーベキュー会場作っちまえばいいんじゃねぇの?」
俺の意見に賛同したキバとナルトが飛びついて来てめんどくせぇなと思ったら、チョウジも俺を見て笑っていた。
さっきまで痩せ細ってたヤツの体はもうリバウンドしていて「シカマルはやっぱり頼りになるよ!」…なんて笑顔で言うもんだから、俺は咄嗟に照れ隠しで空を見上げてごまかした。