捧げもの

□説明書には書いていないこと
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マガナミは首を捻った。

どこかにヒントはないだろうか?

すると、ボタンが配置してあるところに、『洗剤』という文字を発見した。

三つランプが並んでおり、そのうち二つが点灯している。

マガナミはピンと閃いた。

もしやこれは入れる量を指しているのではないか?

この洗剤の量を三等分して、そのうち二つ分を洗濯機に入れればいいのだ!







惜しかった。







マガナミは決して検討違いのことを考え付いたわけではない。

洗剤の箱の中に入っている計量スプーンの意味に気づけなかっただけだ。

マガナミにとってそれは、洗剤を掻き出すための道具に映った。





この量の半分とちょっとを洗濯機の中に入れて…と。






マガナミは洗濯機にそりゃあもう景気よく洗剤をぶち込んだ。

満足げに一つ頷いて蓋を閉める。

やがて洗濯機がゴウンゴウンと音を立て始めた。

後は洗濯機が止まるのを待つだけ…。







なんて便利なのだ。

マガナミは感動していた。

掃除機もそうとう便利だと驚いたが、洗濯機も負けてはいない。

何せ、一つ一つ手でもみ洗いしなくても洗濯物がきれいになるというのだから。

本当に、ここには想像もしないような道具がたくさんある。

マガナミは目をキラキラさせながら、音を立てる洗濯機をまじまじと見つめていた。




















早朝任務だったシカマルは、報告書の提出を終え、家路に着いていた。

今日、確か母親は何かの会合だと言っていた。

とすると今頃マガナミは家に一人でいるだろう。

これといって何かがあると思っているわけではないものの、シカマルは心持ち歩調を早めた。

まぁ彼女のことだ、いつも通り縁側で庭でも眺めているだろう。







家に着いたシカマルは、廊下の角からひょいと縁側を覗いた。

しかし、そこにあると思っていた彼女の姿はない。

部屋にでもいるのだろうか。

シカマルは眉を寄せる。

一応彼女をこの家に置いているのは見張りの意味も含んでいる。

ちらりと嫌な予感がシカマルの胸を過った。

その時だった。





「うひゃああ」





すっとんきょうな悲鳴が聞こえてきた。

声の方向からするとどうも洗面所のようだ。

シカマルは慌てて走り出した。





洗面所の前の廊下まで来て、シカマルは思わず声を上げた。

「うわっ!なんだこりゃ!?」
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