捧げもの
□敵は内部にあり
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「今日のお前らの任務は、プレゼント配りだ」
深夜の任務と聞いて、少し緊張していた第十班の三人は、思わぬ内容に目を点にした。
「へ?」
「だから、プレゼント配りだよ。今日はクリスマスだ。サンタが来るのを楽しみにしてる子どもたちがたくさんいるだろうが。お前らが配るんだよ」
アスマは当然だというような反応を返す。
「ほら、お前らの担当地区の地図とプレゼント。時間までに分担とルート考えとけよ」
山のようなプレゼントと広大な範囲が描かれた地図が渡された。
その量の多さに三人はギョッとする。
「えーーー!こんな短時間でーーー!?」
いのは悲鳴を上げた。
「つかこの任務、もっと前からわかってたんじゃねーの?ナルトたちが、プレゼントがなんだとかルートがどうとか話してたぜ?」
「えー!なんでボクたちにはこんなギリギリまで教えてくれなかったの?」
アスマはわずかにたじろぎ、それを繕うように咳払いをした。
「この任務への考え方の違いだろ。時間をかけてじっくりと準備をするのも一つ、短時間で効率的な計画を立てるのも一つだ」
言葉にしているうちにもっともらしいと思ったのだろう。
したり顔でうんうんと頷いている。
根が素直なチョウジは、そういうことかー、と納得してしまった。
「よし、わかったらとっととルート作成にかかれよー。時間ないぞー」
はーい、とチョウジは気持ちの良い返事をし、いのも不承不承地図を広げた。
そんな二人を横目に、シカマルはアスマの元へ近づいていく。
「まさか伝え忘れたなんてことじゃないよな?」
アスマは苦笑した。
「そんなことはねぇよ。だが……いや、オレもまさかとは思ってるんだがな。……オレはお前らを信じてる。……信じてるぞ」
意味深な言葉を残して、アスマはその場を去った。
何なんだ、今の信用されてるんだかされてないんだかわからない台詞は。
シカマルは首をひねる。
しかし、いつまでも気にしている場合ではない。
早く打ち合わせに戻らなければ間に合わなくなってしまうだろう。
早々にチェックを始めている二人へ合流した。