捧げもの
□かける想い
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「それがどうかしたのか」
ペインは怪訝な顔をして小南を見る。
小南は微かにため息を吐いた。
「まだわからないの」
そう言って折り紙をペインの目の前にかざす。
ペインはその折り紙の異変に気付いた。
ところどころが歪み、皺ができ、染みを作っている箇所もある。
「ふやけたわ。窓際に置いておいたら。この雨と湿気のせいよ」
口調は相変わらず淡々としているが、そこには明らかに苛立ちが混じっていた。
ペインは内心冷や汗を浮かべる。
「運がなかったな。だが、また新たな折り紙を買えばいいだろう」
恐る恐る小南を宥める。
しかし、小南はやはり軽蔑の視線をペインに送り、静かに言い放った。
「まだわからないの」
もう一度折り紙をペインに押し付ける。
ペインは気付いた。
小南の言いたかったことに。
何故こんなにも彼女が怒っているかということに。
この折り紙が、特別であるということに。
その表情は驚愕に歪む。
「やっと気付いたようね。そう、これは、私が前日から並んでようやく手に入れた『超☆高級折り紙』よ」
皆まで言われずとも知っている。
「これは、物を手に入れる時は基本的に他人をパシる小南が、唯一自分で直接買いに向かった、貴重な折り紙だからだ」
瞬間、目にも留まらぬスピードで、折り紙手裏剣がペインの頭に突き刺さった。
「声に出ているわよ」
「ぐ…はっ…」
「この落とし前、どうつけてくれるの」
小南の冷ややかな視線がペインを射抜く。
…待て。
オレか?
オレが悪いのか?
…いや、どう考えても違うだろ。