捧げもの
□悪くねーよな
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ようやく商店街にたどり着いて、シカマルはなんとなくホッとする。
おいおい、ただ目的地に着いただけだぜ?
ふう、と息をついて、母親に託されたメモを再度眺めた。
…さっさと済ませちまうか。
が、その時、今までで最も厄介な相手が前方から歩いてきた。
「あらぁ、シカマルじゃないのー」
「なに?買い物?」
「こ、こんにちは」
いの、サクラ、ヒナタの女性陣だ。
げ。
面倒なやつらに会っちまったな。
女は固まって歩いてる時が一番厄介なんだ。
「よ、よぉ」
「おばさんに何か頼まれたの?」
いのがにこにこ(…いや、早くこいつらとの話に区切りを付けなければと思っているオレの心情が作用しているのか、ニヤニヤしているようにすら見える)話し掛けてくる。
「まぁそういうことだ。家を出てからだいぶ時間たっちまってるし、急ぐから行くぜ?」
「へぇ?寄り道?シカマルにしては珍しいわね」
サクラが間髪入れずに疑問を投げた。
話を打ち切ることに成功したかと思いきや、新たな種を播いてしまったらしい。
「あ、あぁ…今日はやけに知り合いに声を掛けられてよ。それで時間食っちまったんだ」
だから急いで買い物を…と言葉を続けようとしたところをヒナタが割って入った。
「い、いいね、友達がたくさんいて」
「あ、あぁ」
「やだ、あんたにだって友達がたくさんいるでしょ!今日だってこうやって一緒に買い物してるじゃない!」
いのがヒナタの肩を叩く。
「そうよ」
と笑い掛けるサクラに
「そうだね」
とヒナタが嬉しそうに返した。
今のうちに。
シカマルは思った。
女子が女子で盛り上がっている時にそぅっと退散する、これ、会話から抜け出す時の鉄則だ。
そろり…と足を一歩後ろに踏み出す。
「あんたもそう思うわよね、シカマル!」
…って、何でオレに振るんだよ。
「…そうだな、ものぐさなオレなんかより、お前のほうが友達多いんじゃないのか」
「アッハー!言えてる!」
愉快げにいのが笑い声を上げる。
勝手に言ってろ。