捧げもの
□カカシの誤算
1ページ/6ページ
大きな幹の上、二人の男が相対していた。
一人は、成人を迎えてしばらく経つ若者。
もう一人は、まだ十代の少年だ。
真剣、いや、険悪な雰囲気をまとって佇んでいる。
二人は教師と生徒という間柄である。
しかし、何も知らない者がこの場面を見ても、そうは思えないかもしれない。
なぜなら、少年は木の幹にワイヤーで縛り付けられており、そのワイヤーを持っているのは、もう片方の若者なのだから。
若者、はたけカカシは、少年、うちはサスケの荒ぶる心を鎮めるために、少々強引な手段を取っていた。
ずっと仇として憎しみを抱いてきた兄、うちはイタチと遭遇し、完膚(かんぷ)無きまでに打ちのめされた上、
うずまきナルトの思いがけない急成長を目の当たりにし、サスケは焦燥感を募らせていた。
このままでは、大蛇丸の言葉に耳を貸すとも限らない。
事態はそこまで切迫していた。