捧げもの

□カカシの誤算
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「思えば、昔からあいつは薄情なやつだった。
オレが修行の相手を頼むと、決まって『また今度』だ。
眉間を指で突かれると、それで許さなきゃいけないような気にさせられた。
あれは幻術だったのか?くそっ」



カカシは目をパチパチさせた。

なんか、少し前から、方向性がズレてきているような…。



「父さんも母さんもあいつばかりひいきにして。
いつか、台所に小さな皿と串が出てたことがあった。
母さんは、客人に出したんだって言ってたけど、オレは知ってるんだ。
兄さんの口に、少しアンコが付いていたことを」



…兄さん?



「親戚が集まる祝いの席では、オレは寝ろとどやしつけられたのに、兄さんは大人と一緒に遅くまで起きてた」



サスケ、お前、何の話してんの?



カカシはサスケの話の向かう先が読めなくなっていた。

写輪眼でも見切れないものは、この世にいくらでも存在するものだ。





意識がそれている間にも、サスケのぼやきは止まらない。

「オレが兄さんの後を追うと必ず引っかかる間仕切りがあった。
そこでオレが転ぶと、兄さんは笑ってオレを見下ろしたものだ。
今思えば、わざと通っていたに決まっている」



落ち着け、オレ。

まさかとは思うが…



「それから、オレが五歳の時…いや、これはいい」

サスケは顔を赤らめてそっぽを向く。



ん?なんだ?

カカシは、サスケの一瞬の変化に気を取られる。



が、サスケはすぐに表情をつくろい、またもぼやき出す。

イタチに関するネタは、まだまだ尽きることがなさそうな雰囲気だ。
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