捧げもの
□カカシの誤算
4ページ/6ページ
「思えば、昔からあいつは薄情なやつだった。
オレが修行の相手を頼むと、決まって『また今度』だ。
眉間を指で突かれると、それで許さなきゃいけないような気にさせられた。
あれは幻術だったのか?くそっ」
カカシは目をパチパチさせた。
なんか、少し前から、方向性がズレてきているような…。
「父さんも母さんもあいつばかりひいきにして。
いつか、台所に小さな皿と串が出てたことがあった。
母さんは、客人に出したんだって言ってたけど、オレは知ってるんだ。
兄さんの口に、少しアンコが付いていたことを」
…兄さん?
「親戚が集まる祝いの席では、オレは寝ろとどやしつけられたのに、兄さんは大人と一緒に遅くまで起きてた」
サスケ、お前、何の話してんの?
カカシはサスケの話の向かう先が読めなくなっていた。
写輪眼でも見切れないものは、この世にいくらでも存在するものだ。
意識がそれている間にも、サスケのぼやきは止まらない。
「オレが兄さんの後を追うと必ず引っかかる間仕切りがあった。
そこでオレが転ぶと、兄さんは笑ってオレを見下ろしたものだ。
今思えば、わざと通っていたに決まっている」
落ち着け、オレ。
まさかとは思うが…
「それから、オレが五歳の時…いや、これはいい」
サスケは顔を赤らめてそっぽを向く。
ん?なんだ?
カカシは、サスケの一瞬の変化に気を取られる。
が、サスケはすぐに表情をつくろい、またもぼやき出す。
イタチに関するネタは、まだまだ尽きることがなさそうな雰囲気だ。