捧げもの
□カカシの誤算
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「あいつは、父さんと母さんを…一族を滅ぼした憎むべき相手だ」
やがて、ポツリとサスケが口を開いた。
カカシは無言のままサスケに視線を移す。
「己の強さを確かめるため、そんなくだらない理由で一族を皆殺しにした」
サスケの拳が固く締まる。
「一族で生き残った者がオレだけだというなら、オレがけじめをつけないでどうする」
身体がわなわなと震え出した。
感情を持て余しているようだ。
感情を押し殺して地面を睨んでたあいつにしたら、いい傾向だ。
カカシはホッと心を緩める。
「オレの生きる意味は、あいつを殺すことだ」
混乱を振り切るように、サスケは身体全体で叫んだ。
カカシは、サスケの前にしゃがみ込むと、あえて感情を交えずに言った。
「そうやってイタチを殺して、後には何が残る」
サスケは感情をむき出しにして言い返してくる。
そうだ。
そうやって、心に巣食ってる闇を全て吐き出して、身軽になれ、サスケ。
カカシは内心頷いた。
こうして、溜まっていたサスケのうっぷんを受け止め、時に適切な相づちを打ちながら、
カカシは少しずつ、サスケのまとっていた闇を払いのけていった。
なおもサスケの話は続く。
真剣に耳を傾けていたカカシの顔には、次第に疑問符が浮かび、やがて、げっそりとした表情に変わっていった。