捧げもの

□二人の初任務
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あの場所でチョウジと出会ったのは、ただの偶然だったんだ。

みんなに言い負かされてしょんぼりと帰っていったあいつのこと、気にならなかったわけじゃねーけど、

追いかけてって慰めてやるなんて、オレの柄じゃねーしな。

あそこであいつを見つけて話しかけたのはな、オレのお気に入りの場所にあいつが座ってても、全然嫌な気がしなかったからだ。





世界には価値観ってやつの要素が多すぎる。

その中で、オレたち人間に見えるものといったら、そのほんの一部分くれぇなもんだ。

しかも、場面場面によって見えるものは全然違ってくる。

物を運ぶ時には力の有無しか見ねぇし、裁縫する時ゃ、器用さしか見ねぇ。

忍者ごっこする時にオレたちが注目すんのは、足の速さとか、機敏さだけ…ってな。

けど、あいつは心の優しい、いいやつだ。

あいつといると肩肘張んなくて済むし、すげぇくつろいだ気分になれる。

オレはあいつと過ごす時間が好きなんだよ。
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