捧げもの
□ほんのひと時の帰郷
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「久しぶりの帰郷でしょう…どうです?探しものをする前に茶でも…」
「…ああ…いいだろう…」
カカシは、茶屋の壁に身体をもたせ掛け、手持ち無沙汰な様子で佇んでいた。
この茶屋の前で、サスケと待ち合わせをしているのである。
彼が珍しく人を待つ立場にあるのは、供え物を買うついでの待ち合わせだからだ。
木の葉の里は、大蛇丸の木の葉崩しの為に、壊滅的な打撃を受け、多くの命を失っていた。
殉職者の中には、三代目火影も含まれている。
一見、間の抜けた表情のカカシだが、その意識は、茶屋の中にいる怪しげな二人組に向けられていた。
黒地に赤雲があしらわれたマントに身を包み、大きな笠を深々と被ったその二人は、何事かを話し込んでいる様子である。
しかし、賑やかなこの通りでは、その内容をカカシの耳で拾うことはできない。
木の葉崩しにより警備が手薄になった里に、九尾を探しに来たうちはイタチと干柿鬼鮫は、ある茶屋に腰を落ち着けていた。
「どうです、久しぶりの木の葉の里は?感慨もひとしおなのでは?」
鬼鮫は、置かれた湯飲みに手を伸ばした。
「今の荒れ果てたこの地に、昔の面影はない」
「まあ、確かに」
口元に寄せた茶をすする。
「それにしても九尾はどこにいるんでしょうねぇ」
「それを探すのが我々の仕事だ」
「それもそうですね。…それより、木の葉にはあなたの弟さんもいらっしゃるんでしょう?どんな方なんです?」
鬼鮫はちらりとイタチに視線を向けた。
イタチが静かに茶を口に運ぶ。
「あいつは」
コト、と湯飲みがテーブルに置かれた。