はんぶんの月

□三章
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「ん、お前は真選組の者か?」

桂の、あたしを見る目が少し険しくなる。

「そうよ。あたしは真選組、六番隊隊長・近藤庵」
「近藤、だと・・・?」

どうして名乗ってしまったのか、自分でも分からない。
でも、彼には知ってほしかった。
あたしの名前。

「攘夷浪士は補縛する」
「出来ると思うか?俺を捕まえることなど」
「・・・・・」

しばらく睨み合った後、あたしは刀を鞘に収めた。

「止めた。今日のことは、無かったことにしてあげる。あたしとあんたは此処で会ってない。だから、捕まえる義理も無い」
「・・・おかしな娘だな」

桂は、ふっと微笑んだ。
その顔があまりにも綺麗で、思わずドキッとした。

「またいずれ会うこともあろう。その時は女子とて容赦はしない。真選組を離れていれば別だがな」
「ありえないね。あたしは一生、離れる気は無い。お兄ちゃんの側から」
「そうか。それは残念だ」
「それじゃ、またね。狂乱の貴公子・桂小太郎さん」

ひらひらと手を振って、あたしはその場を後にした。


「桂小太郎・・・、変なヤツ」




「近藤庵、か。おかしな娘だ。しかし、興味深い」
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