紅蓮

□十四章
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ある日。
千鶴ちゃんと一緒に一番組の巡察に同行していた私は、こちらに掛け寄って来る人影に思わず笑みを零した。


「千鶴ちゃん!」
「あれっ…お千ちゃん?」
「何、その子。知り合い?」

沖田さんがいぶかしげにお千ちゃんを見やる。

「前に、浪士に絡まれてたところを助けてもらったんです」
「浪士に…?ふーん」
「千鶴ちゃん、意外と逞しいよね」

私が苦笑いしてると、不意にお千ちゃんの視線を感じた。

「…?」
「ねぇねぇ、千鶴ちゃん。よかったら、お団子ご馳走させてくれない?この間のお礼に」
「え、でも今は巡察の途中で…それに翠さんも居るし」

千鶴ちゃんは困ったように私と沖田さんを交互に見る。

「行って来たらいいんじゃない。たまには息抜きも必要でしょ」
「沖田さんもああ言ってるし、行っておいでよ」
「あー…できれば、あなたにも来てもらいたいの」
「へ?」

どうして私なんだろう。
別に鬼とは関係無いのに。

「どうせ居たって何の役にも立たないし、きみも行って来ればいいじゃない」
「…っ、デリカシーの無い男は大っ嫌いだ!!行こう、千鶴ちゃん、お千ちゃん」

私は二人の手を掴んで歩き出した。

沖田さんがこういう性格なのは知ってるけど。
それでも、いくら何でも言いすぎだよ!
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