紅蓮
□八章
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私は、何の為にこの世界に呼ばれたんだろう。
こんな風に勝手に自分の命を縮めてしまって本当に良かったんだろうか?
…なんて後悔しても、もう遅い。
次に目が覚めたら私はもう、人間じゃないんだ…
「…ん」
目を開けると、見慣れた天井が見えた。
私、どうなってしまったんだろう。
「おはよう、翠ちゃん。気分はどう?」
「沖田さん…?少しだるい、かな」
「あんた、自分が何をしたのか分かっているのか?」
「斎藤さん…。勿論、分かってますよ。私は【薬】を飲んで、人でなくなった」
不思議と冷静な自分が居て驚いた。
今夜あたり、血に狂ってしまうかもしれない。
殺されてしまうかもしれない。
でも、何故だか怖いと思わない。
「…どこまで知ってるの?」
「ごめんね、山南さんから全部聞いたんだ」
「そっか。残念だけど、殺すしかないね」
沖田さんは静かに刀を抜き、私に突きつけた。
その表情は、どこか寂しげに見える。
「待て、総司。副長の指示が無いのに斬ろうとするな。それに…」
斎藤さんは私を見て、複雑な表情をした。
「それに…何ですか?」
「鏡を見てみろ」
私は、枕元に置いてあった手鏡を覗きこむ。
其処に映っていたのは…