紅蓮
□六章
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薄桜鬼シリーズで、私の本命は斎藤さんだった。
だからこちらの世界に来た時も、斎藤さんとエンディングを迎えたいって思ってたんだ。
でも、実物はゲーム以上にクーデレで。
恋愛なんて出来そうになかった。
たとえ恋人になれなくても、もう少し仲良くなりたい。
そう思ってた矢先。
斎藤さんから巡察のお誘いを受けた。
「へ、巡察ですか」
「ずっと部屋に閉じこもっていても暇だろう。気分転換に外に連れて行ってやる。無論、副長の許可は取ってある」
あまりの急展開に、私は言葉を失った。
あの斎藤さんが、私を気遣ってくれてる!!
「あんたが嫌と言うなら無理強いはしないが」
「あ、いえ…ぜひ行かせてください!」
「そうか」
斎藤さんが微笑んだ。
反射的に私は、鼻を抑える。
「何をしている」
「条件反射です…」
あぁ、笑顔の一つも返せない自分が憎いっっ!
「わ…私、支度して来ますね」
「あぁ。終わったら玄関に来てくれ」