紅蓮

□五章
1ページ/7ページ

池田屋での一件以来。
外出許可をされる日が、だんだんと増え始めていた。
土方さんは、漸く私達の働きを認めてくれたらしい。


そして、ある巡察の日。
原田さんと永倉さんに誘われて、私達は禁門の変にも参加することになった。
頼りにされてることを純粋に喜ぶ私と千鶴ちゃん。


…だったんだけど。




「はーっくしょん!!」
「風邪ですね。翠さん、今日は大人しくしててください」
「でも…せっかくの新選組の晴れ舞台だしぃ」
「無理して悪化したらどうするんですか!」
「でもぉ…」

みんなの活躍する姿を目に焼き付けておきたいっていうか。
ほら、上手くいけば風間達にも会えるし。
つーか、不知火に会いたい!!

「絶対にダメです!今日は安静にしててください」

千鶴ちゃんはきっぱり言い放って、ぴしゃりと襖を閉めた。

「はぁー。千鶴ちゃんも所詮江戸の女なんだね…」

一瞬将来の図が頭に浮かんだが、見なかったことにしよう。
千鶴ちゃんが土方さんを尻に敷くはずない。


「けほっけほっ…あー、だりぃ」

襲い来る頭痛から逃れたくて、私は目を閉じた。
次に目を覚ます時には、少しは楽になってるよね…。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ