紅蓮
□三章
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とある、晴れた日の午後。
私はたまたま遭遇した沖田さんと斎藤さんに、ある願いを言ってみた。
「…正気か?」
「もちろん!お願いできませんか?」
「無理無理。だってきみ、女の子でしょ?」
「女だからってナメられんのが大っ嫌いなのよ!それに、私だって護られてばっかじゃ申し訳ないし」
「副長の判断を仰ごう。許しを得られれば、俺が教えてやる」
「本当ですか?!ぜひお願いします!」
私は期待を込めて、斎藤さんを見つめた。
「そのように目を輝かせるな。まだ副長が賛成してくださるか分からない」
「でも…」
ぶっちゃけ、斎藤さんがノリ気だとは思わなかった。
原田さんとか永倉さんあたりに頼む、とか言うと思ってたのに。
「とにかく、あまり期待はするな。それじゃ俺は、副長に伺って来る」
「はい。よろしくお願いします!!」
背を向けて去って行く斎藤さんに深く頭を下げて、私は沖田さんの方を見やった。
「優しいねー、斎藤さんて」
「そう?下心見え見えだと思うけど」
「斎藤さんはそんな人じゃないよ」
「へぇ、あの人をよく知ってるような口ぶりだね」
「私、何か月此処に居ると思ってんの。そろそろ幹部の人の人柄くらい分かるようになったっつうの」
「ふーん。…ねぇ、翠ちゃん。僕が教えてあげようか」
「え、沖田さんが?!」
「うん。別に斎藤君じゃなきゃいけない理由なんて無いでしょ?」
「そりゃ、まぁそうなんだけど」
正直、遠慮したい。
この人の指導はスパルタっぽいし。
「じゃあ、決まりね。ちょっと待ってて、準備して来るから」
勝手に決めるなぁぁぁ!!