紅蓮

□三章
1ページ/8ページ

とある、晴れた日の午後。
私はたまたま遭遇した沖田さんと斎藤さんに、ある願いを言ってみた。


「…正気か?」
「もちろん!お願いできませんか?」
「無理無理。だってきみ、女の子でしょ?」
「女だからってナメられんのが大っ嫌いなのよ!それに、私だって護られてばっかじゃ申し訳ないし」
「副長の判断を仰ごう。許しを得られれば、俺が教えてやる」
「本当ですか?!ぜひお願いします!」

私は期待を込めて、斎藤さんを見つめた。

「そのように目を輝かせるな。まだ副長が賛成してくださるか分からない」
「でも…」

ぶっちゃけ、斎藤さんがノリ気だとは思わなかった。
原田さんとか永倉さんあたりに頼む、とか言うと思ってたのに。

「とにかく、あまり期待はするな。それじゃ俺は、副長に伺って来る」
「はい。よろしくお願いします!!」

背を向けて去って行く斎藤さんに深く頭を下げて、私は沖田さんの方を見やった。

「優しいねー、斎藤さんて」
「そう?下心見え見えだと思うけど」
「斎藤さんはそんな人じゃないよ」
「へぇ、あの人をよく知ってるような口ぶりだね」
「私、何か月此処に居ると思ってんの。そろそろ幹部の人の人柄くらい分かるようになったっつうの」
「ふーん。…ねぇ、翠ちゃん。僕が教えてあげようか」
「え、沖田さんが?!」
「うん。別に斎藤君じゃなきゃいけない理由なんて無いでしょ?」
「そりゃ、まぁそうなんだけど」

正直、遠慮したい。
この人の指導はスパルタっぽいし。

「じゃあ、決まりね。ちょっと待ってて、準備して来るから」

勝手に決めるなぁぁぁ!!
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ